クリスチアナ・ブランドのおすすめミステリ小説5作品。まずはこれから読みましょう

海外ミステリー小説好きに知らない人はいないほどに有名な、クリスチアナ・ブランドさんのおすすめ作品をご紹介させていただきたい。

ブランドさんはミステリの黄金期、アガサ・クリスティやエラリー・クイーン、ジョン・ディクスン・カーが活躍した時代の少し後に登場したお方。

一言でいえば超すごいミステリ作家さんである。

よく「アガサ・クリスティに次ぐミステリの女王」なんて呼ばれていたりもする(似ているようで違うんだけどね)。それだけ偉大な作家さんということなのだ。

海外ミステリに興味があるなら、ぜひ舐め回すように読んでいただきたい。

1.『招かれざる客たちのビュッフェ』


 

クリスチアナ・ブランド入門にぴったりな短編集。

あらゆるジャンルのミステリが16編も収められた、極上のフルコースのような作品である。

本格ミステリとブラックユーモアの混じり具合が絶妙で、苦味が残る後味ながら、ついもう一口食べたくなってしまうクセが残るのだ。

短い物語でありながらプロットの作り込みも素晴らしく、青年が老人に過去に起きた密室事件を語っていく、という『ジェミニー・クリケット事件』のは傑作として名高い。伏線も構成もオチも最高なのだ。

個人的には『カップの中の毒』も好き。倒叙モノの傑作でしょ、これ。

短編でありながらいずれも濃厚であるため、すぐにお腹いっぱいになってしまう。とても一回では食べきれない量である。でも食べるのをやめられないのだ。どうしてくれる。

2.『ジェゼベルの死』

 

ブランドの代表作にして傑作長編。

「舞台上」という人の目による密室状態の中で起きた殺人を推理していく。

つまり「フーダニット(誰が)&ハウダニット(どうやって)」殺したのか、という謎が今作のメインとなる。

見所はたくさんあるが、なかでも容疑者たちの自白合戦は大いに注目である。頭がグルングルンとこんがらがってくる。でもそれが楽しい。

終盤の二転三転からのどんでん返しは見事であり、そこにもって行くまでの伏線とミスリードの巧さにもウットリしてしまうのだ。読めばわかる。こりゃすごい!ってなるのだ。

翻訳小説に慣れていないと少々読みにくいかもしれないが、海外ミステリー小説を読む上でも外せない傑作なのでぜひ一度は目にしていただきたい。

3.『緑は危険』

 

これもまたブランドの代表作にして傑作長編である。

陸軍病院が舞台であり、骨折で運び込まれた郵便配達員が手術中に殺害される、というもの。

彼は一体「なぜ」殺されてしまったのか。

ブランドらしい二転三転する展開を思いっきり味わえる本格ミステリの王道。伏線の忍ばせ方も華麗ながら、なによりミスディレクションが巧妙なのだ。やられた!と叫びたくなってしまう。

ホワイダニットとフーダニットのどちらもが強烈な素晴らしいミステリであり、人間ドラマとしても魅せてくれる一作である。

4.『はなれわざ』

 

またしても代表作。

イタリア旅行で訪れた孤島で起きた殺人にコックリル警部が挑む。

まさに「はなれわざ」なトリックに関しては、現代のミステリー小説をたくさん読んでいる人にとっては珍しいものではないのかもしれない。

だが真相に行き着くまでのミスディレクションと伏線は芸術的であり、ブランドの魅力を存分に味わえるので読んでぜひ読んでみよう。

なんといっても「いかに読者に気がつかせないか」が天才的なのである。これは目にしないとアカン。

5.『自宅にて急逝』

 

「足跡なき殺人」を扱った名作。

〈白鳥の湖邸〉と呼ばれる豪邸で殺人事件が起きるのだが、現場に犯人の足跡はなく「密室」と呼ぶべき状況だった。

このトリックが、密室好きなら絶対に目にしてほしい、と言えるレベルのものなのだ。トリックそのものだけでなく、それを読者に気がつかせない演出にも注目である。

伏線回収の巧さ、ラストの二転三転する展開も実にブランドらしく、最後の最後まで楽しさが詰まった作品となっている。

自宅にて急逝

おわりに

他にも『暗闇の薔薇』などの面白い作品はあるのだが、まずは今回ご紹介させていただいた作品の中から選んで欲しい。

どれを最初に読むべきか迷ったら、とりあえず短編集の『招かれざる客たちのビュッフェ』を読んでおけば大丈夫!

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