【東野圭吾】加賀恭一郎シリーズの読む順番とオススメについて

天才物理学者・湯川学が主人公である『ガリレオシリーズ』が有名な東野圭吾さんだが、『加賀恭一郎(かがきょういちろう)シリーズ』もとても面白いシリーズである。

実はこの加賀恭一郎シリーズ、順番に読まなくても問題なく楽しめてしまう。

が、一作目から順番に読んだ方が感情移入の度合いが変わってくるので、できるかぎり順番に読むことをオススメしたい。

順番を簡単にご紹介すると、

1.『卒業
2.『眠りの森
3.『どちらかが彼女を殺した
4.『悪意
5.『私が彼を殺した
6.『嘘をもうひとつだけ
7.『赤い指
8.『新参者
9.『麒麟の翼
10.『祈りの幕が降りる時

となる。

以降、あらすじやオススメなどをご紹介していきたい。

1.『卒業』

 

加賀恭一郎シリーズの一作目。

刑事になる前の、まだ大学生だった加賀恭一郎の物語である。

 

仲の良かった友人グループ7人のうち1人が密室で死んでいた。

自殺か他殺か。動機はなんだ。

仲の良かったこのグループの中に犯人がいるかもしれない。

終始流れる緊張感がページを捲る手を加速させる。

トリックにも非常にこだわった王道の推理小説であり、東野圭吾さんの初期作品らしい雰囲気がなんとも好きだ。

2.『眠りの森』

 

あるバレエ団の一員が男を殺してしまった。正当防衛だったという。

刑事となった加賀恭一郎は「本当に正当防衛だったのか」と疑問に思い調査をはじめるが……。

ストーリー展開のリズムが良く、あらゆる伏線を回収していき最後にまさかの真相を披露してくれる良き作品。

初期の頃から切れ味抜群の推理力を見せてくれる加賀恭一郎。アッパレである。

3.『どちらかが彼女を殺した』

 

どちらが犯人かわからないまま物語が終わる、という非常に面白い試みの作品である。

 

最愛の妹を殺された刑事の和泉康正は、なんとか犯人を二人まで絞りこむ。

しかし、どちらが犯人なのかがどうしてもわからない。そして分からぬまま、物語は幕を閉じてしまうのだ。

だが、物語をしっかし注意深く読めば犯人が読者にもわかるようになっている。

ネタバレに頼らず、自力で犯人を当ててみよう。

4.『悪意』

 

傑作である。

東野圭吾さんの数ある作品の中でも3本の指に入るほどの傑作であり、加賀恭一郎シリーズで一番オススメしたいのがこの作品だ。

 

とある人気作家が殺害された。犯人はすぐに逮捕される。しかし〈動機〉を頑なに語ろうとしない。

なぜだ。

本作はホワイダニット(なぜ犯行に至ったか)に焦点を当てた作品である。

この物語を読めば、ミステリにおいてのホワイダニットの面白さが十分にわかっていただけるだろう。

5.『私が彼を殺した』

 

シリーズ3作目『どちらかが彼女を殺した』と同じく最後まで犯人が明かされない作品。

結婚式当日に毒を飲まされ死んだ男。犯人は3人の女の中の誰なのか。というシンプルな謎である。

容疑者となる女性3人の視点が入れ変わりながら進む形式で、『どちらかが彼女を殺した』より難易度は上がっている。

これを一発で当てた方は探偵の才能の持ち主だ。

6.『嘘をもうひとつだけ』

 

〈嘘〉をテーマとした短編集。

ほぼ犯人視点で展開されていく倒叙モノである。

長編に比べまとまりがあり、キレ味もいいが、重い話ばかりで読後感はしっかり残る。

タイトル『嘘をもうひとつだけ』の意味とは。

7.『赤い指』

 

家族をテーマとした殺人事件であり、シリーズ作品の中でも特に印象に残る作品である。

これまでのシリーズ作品を読んでいるとよりいっそう感情移入できるだろう。

住宅街で発生した少女殺害事件を軸に、ある家庭の存在を追っていく。

重たい物語なので気軽にサクッととはいかないが、そのぶん読後感は強く残り忘れられない物語となっている。

8.『新参者』

 

加賀恭一郎という人物がどれだけ人情味溢れているかがよくわかる作品。これを読めばもっと加賀恭一郎を好きになる。

全9章からなる物語で、1章から8章までは独立した短編のように読むことができる。

そして9章でそれぞれの物語が一気に絡み合っていき、ラストはこれ以上ないくらいにビシッと決めてくれる。

本作がシリーズの中で一番好き、という声も多い。

9.『麒麟の翼』

 

胸にナイフをが刺ささり死にかけだった男が、わざわざ日本橋の上まで歩いてきて死亡した。

死亡した男はなぜ日本橋まで歩いてきたのか。

そんな事件を皮切りに、思いもよらぬ方向へと物語が進む本書は〈シリーズ最高傑作〉との呼び声も高い。

ミステリ小説として楽しめるだけでなく、作品に込められたメッセージ性が強く印象に残る。

10.『祈りの幕が下りる時』

 

加賀恭一郎シリーズの最終作である。必ず最後に読もう。

シリーズ最終作にふさわしい内容と終わり方であり、これまでの加賀恭一郎の活躍を見ているからこそ胸をうつ作品になっているのである。

 

とあるアパートで女性の腐乱死体が発見された。そこの住人である男は行方不明に。

近くで発生したホームレス焼死事件と何か関係があるのだろうか。

クオリティの高さはもちろんだが、読後に残る切なさはシリーズトップである。

あとがき

よほどのことがない限り、加賀恭一郎シリーズは順番に読むことをオススメする。

特に、最終作『祈りの幕が降りる時』は必ず最後に読もう。

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