道尾秀介さんのおすすめ小説10選【本当に面白い道尾作品2018】

大好きな作家さんの1人である、道尾秀介さんのおすすめ小説を10作品に厳選した。

道尾秀介さんの描く作品は本当にどれも面白く、選ぶのに苦労したが、この10作品は間違いなくおすすめできるものとなっている。

ミステリー色が強めな作品もあれば、ホラーじみた作品、感動できる作品、とバラエティに富んでいるのも道尾秀介作品の魅力だ。

ぜひ参考にしてほしい。

 

 

1.『スケルトン・キー』

主人公となるのは、週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕こと坂木錠也。

坂木錠也がこの仕事を選んだのは、スリルのある環境に身を置いて心拍数を上げるためだった。

そうすることによって、自分の中にある狂気を抑え込むことができるからだ。

坂木錠也はいわゆるサイコパスなのだが、最近はまともな状態を保るつことができていた。

だが、ある日、児童養護施設でともに育った仲間から電話がかかってくる。これをきっかけに坂木錠也の日常が変わり始め、これまで必死に守ってきた平穏が壊れていくのだった……。

見どころはいろいろとあるのだが、特に見ものなのは数字と主人公以外の登場人物の人間性である。

「道尾作品史上もっともダーク」と言われるだけあってグロく、残酷な部分も多い。だが、スピーディーな展開でテンポよく読み進めることができる。

あの仕掛けにはおそらくほとんどの人が騙されるだろうし、思わずもう一度読み返したくなる作品だ。

2.『向日葵の咲かない夏』

一学期の終業式の日、ミチオは欠席したS君にプリントを届けるためにS君の家を訪れる。

だが、声をかけても応答がない。中に入ってみると、S君は首を吊って死んでいた。

慌てて学校に戻り、担任の岩村先生に伝えるものの、ミチオは一旦家に帰されることとなる。

その後、岩村先生と2人の刑事が家に来るが、S君の死体なんてなかったと知らされる。

結局は行方不明事件として捜査されることとなったのだが、1週間後、ミチオの前にS君が現れる。

あるものに姿を変えていたS君は「自分は殺されたんだ」と訴えるのだった……。

見どころはやはり妄想なのか現実なのかわからない独特の世界観だろう。

また、全員が何かしらの狂気をはらんでいる登場人物も見所だ。

衝撃的なあの仕掛けは好き嫌いがわかれるだろうが、確実に印象に残るだろう。

物語は絶対に予想通りには展開していかないが、違和感はしっかりと伏線として回収されていくのが気持ちいい。

3.『カラスの親指』

かつてはまっとうなサラリーマンだったタケこと武沢竹夫はベテランの詐欺師となっていた。

何もかもを失ったタケは自殺を図ろうとするも死にきれず、逃げ回っていた。

そんな中、鉄橋で下をのぞき込むテツという男を出会う。二人はコンビを組んで仕事を重ねていた。そんな二人は仕事に失敗したスリの少女・まひろを見かけ逃がしてやる。

それをきっかけにアパートを追い出されたまひろと姉のやひろ、そしてやひろの恋人の貫太郎が二人のもとへ転がり込み、五人は共同生活を始める。

子猫の「トサカ」も加わるものの変わり果てた姿で発見され、五人は復讐を誓うのだった……。

見どころはやはりラストのどんでん返しである。おそらく読者の誰もが予測できないラストだろう。

物語が始まってから小ネタとネタばらしは繰り返されるのだが、これによってより物語に引き込まれていく。

数ある道尾作品の中でも、特にページをめくる手が止まらなくなってしまう作品なのだ。

4.『透明カメレオン』

ラジオのパーソナリティの恭太郎は、冴えない容姿と「特殊」な声の持ち主だった。

いきつけのバー「if」で仲間たちと過ごし、それを楽しくて面白おかしい話につくり変えてリスナーに届けていた。

ただ、恭太郎はある雨の日に雨の不審な音を耳にする。その日、びしょ濡れの美女が店に迷い込んできた。

そしてひょんなことから、恭太郎たちは彼女の企てた殺害計画に参加することになるのだった……。

この作品の見所は、やはり伏線の張り方だろう。

もちろん、読んでいるうちはどこが伏線になっているのかはわからないものが多い。

ラストに向けての怒涛の展開で、「あれも伏線だったのか!」という驚きを味わえる。

本当に思ってもみない部分が伏線になっているのには、感服する。

一般的には嘘はいけないとされているが、この作品を通して「優しい嘘」とは何なのか、それがなぜ必要なのかもわかるようになるだろう。深みのある作品だ。

5.『ラットマン』

結成14年のアマチュアロックバンドのギタリストである姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件に遭遇する。

というのも、練習をしていたスタジオ内で死体を発見してしまうのだ。

その事件に遭遇したことをきっかけにフラッシュバックする姫川の過去やバンドメンバーの隠された素顔が複雑に絡み合っていく……。

この作品の見所は、やはりラストに向けての大どんでん返しである。

道尾作品ではどんでん返しはよくあるものだが、ようやく真理にたどり着いたと思わせておいて、そこからさらに大どんでん返しがある。

道尾作品を続けて読んでいるとわかってしまう部分もあるだろうが、少なくとも何回かは騙されることになるだろう。

道尾作品の中でも比較的さっぱりしていると言われている作品なため、道尾作品初心者にもおすすめできる。

「ラットマン」というタイトル通りのストーリー展開を楽しんでもらいたい。

6.『ソロモンの犬』

秋内、京也、ひろ子、智佳の4人は、大学生としての青春を謳歌していた。

ただ、ある日、4人の幼い友である陽介の死を目の当たりにする。

陽介は4人が通う大学の助教授である椎崎鏡子のひとり息子だった。

その陽介が目の前でトラックにはねられてしまったのだ。

連れていた飼い犬であるオービーが暴走し、引きずられての事故だったのだが、秋内はこの事故に疑問を抱くようになる。

動物生態学に詳しい間宮助教授に相談に行き、事故の真相を解き明かしていくのだった……。

この作品の見所は、ズバリ犬である。というのも、飼い犬であるオービーがキーポイントになってくるのだが、犬の生態についてよく勉強したものだと感心してしまうのだ。

また、道尾作品らしくどんでん返しが何度もあるのだが、この作品に関してはいわゆる青春小説の色がなかなかに濃い。

それゆえに読みやすくもなっているので、初心者にもおすすめだ。

7.『龍神の雨』

添木田蓮と楓は事故で母を失い、継父と三人で暮らしていた。

一方で、溝田辰也と圭介の兄弟は、母に続いて父を亡くし、継母と生活を送っていた。

一方の継父は妹にひどいことをする変態、もう一方の継母は実の母を殺して父と再婚した女だった。

蓮は継父の殺害計画を立てていた。ある雨の日、この2組の兄弟の物語が偶然に絡み合い、事件が起こるのだった……。

それぞれの兄弟の物語もかなり深みがあるのだが、やはり見所はこの2組の兄弟の物語が絡み合うところである。

ここからは本当に怒涛の展開で、一気に引き込まれることになるだろう。この作品の中には「想像は人を喰らう」という表現が出てくるのだが、この表現がすべてだと言っても過言ではない。

ただ可哀想な物語ではなく、切なさも感じられる作品だ。

ミステリーとしての展開を楽しめる作品でもあるのだが、いろいろと考えさせられる部分も多い。

8.『シャドウ』

「人は、死んだらどうなるの?」……そんな会話から三年後、凰介の母は病死してしまった。

父と二人だけの生活が始まったが、その数日後、幼馴染みの母親が自殺してしまう。

この事件をきっかけに、次々と不幸が訪れる。父とのささやかな幸せを願う小学五年生の少年が苦悩しながらも成長していく……。

この作品での見所は、やはり小学五年生である凰介の成長である。守られるべき存在であったはずの凰介が気づいたら成長して、大人を守るようになっているのだ。

大人びた印象を受けるようになる一方で、子どもっぽいところも残っており、そのギャップが愛おしくなる。ミスリードが巧妙で、構えて読んでいても騙されてしまうという人が多い。

ちなみに、この作品では他の道尾作品に登場する人物の関係者が出てくる。他の作品とのリンクも楽しんでおきたいところだ。

9.『背の眼』

作家の道尾秀介は福島県白峠村を訪れていた。というのも、この村ではここ数年、児童の神隠し事件が起こっているのだった。

河原を散策していると、神隠し事件で最初にいなくなった少年の切断された頭部だけが流れ着いたという場所で妙な声を聞く。

道尾は予定を切り上げて東京へ帰ると、霊現象を探求する友人である真備庄介に相談を持ちかける。その頃、真備は同じような相談を受けているのであった……。

これはホラーサスペンス作品になるのだが、見所はやはりホラーの名に恥じない描写である。

「怖い」という評判が目立つように、迫ってくるような描写には恐怖を感じずにはいられない。

デビュー作ということもあり、冗長な部分もあると言われているのだが、サクサクと読み進めることができる。

道尾作品はもともとホラー要素が少なからずあるのだが、ホラー要素の強いものを好むのであればかなりおすすめだ。

10.『光媒の花』

認知症の母とひっそり暮らす男が抱える遠い夏の秘密、幼い兄妹が小さな手で犯してしまった罪、心通わせた少女のために少年が口にした約束……この作品は、全部で6つの短編から成り立っている。

ただ、それぞれの短編が独立しているわけではなく、その背景がつながっているのだ。

罪を犯してしまう子どもたち、そうせざるを得ない状況や環境を作ってしまった大人たちの罪といったものが描かれており、途中まではかなり重たい印象を受ける。

もちろん、作品全体として重たい部分もあるのだが、ラストに向けてきちんと希望も描かれている。描かれている希望というものが見どころになってくるのだろう。

ハッピーエンドとまでは言えないが、希望が持てるラストで救われる人も多いだろう。

読了後にはわかるだろうが、タイトルもとても秀逸だ。

グロ系やホラー系の道尾作品を読んでいる人であれば、「こんな作品も描けるのか」と驚くだろう。

おわりに

以上が、道尾秀介さんのおすすめ小説10選となる。

数ある道尾作品の中でも選りすぐりの素晴らしい作品ばかりなので、ぜひお手に取ってみてほしい。

参考にしていただければ幸いである。

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