【ミステリ小説おすすめ100選】どんでん返しが凄い傑作推理小説2018

ミステリマニアである私が、本当におすすめできる名作ミステリー小説を100作品に厳選した。

もし読んでいない作品があれば、ぜひお手に取ってみてほしい。後悔はしないはずだ。

一応、1人の作家さんにつき2作品までのルールを設けた。そうしないとキリがないからである。

また全て国内ミステリであり、あえてランキングも付けてはいない。

 

海外ミステリー小説のおすすめは別に記事を書いたので、そちらと合わせてぜひ参考にしてほしい。

関連記事:海外ミステリ小説おすすめ名作・傑作50選【2018年版】

 

目次

1.赤川次郎『マリオネットの罠』

 

「赤川次郎最高傑作」との呼び声も高い一作。

ある姉妹が住む館に、家庭教師としてやってきた修一は、地下室に幽閉されていた少女を発見。かわいそうに思った修一は彼女を逃してしまう。

すると街では不可解な連続殺人が巻き起こる。現場で目撃されるコートを着た女性とは一体誰なのか。

4つの章から成り立っており、それぞれホラー、サスペンス、冒険活劇、などの違った面白さが楽しめるのも見所。それが最後にきっちり収束し、綺麗にオチる。

終始サスペンスに溢れる展開であり、しかも読みやすいので物語へグッと引き込まれてしまうのだ。

最高傑作と呼ばれるのも納得なのである。

『マリオネットの罠』は赤川次郎さんの最高傑作でよろしいか-感想あらすじ

2.赤川次郎『三毛猫ホームズの推理』

三毛猫ホームズシリーズの1作目。

数ある三毛猫ホームズシリーズの中でもベスト3に入る名作である。

三毛猫ホームズシリーズというとライトなミステリーというイメージがあるかもしれないが、今作はガチの本格推理小説であり、結構重い内容である。

それでいてほどよくユーモアを挟みつつ、なかなかシリアスな展開が楽しめるのが良いポイントだ。

犯人の意外性も十分だし、結末にも痺れる。

注目すべきは、ズバリ「密室トリック」。

密室トリックに終わりはない!と思わせてくれた「新しい密室トリック」をぜひ目にしていただきたい。

赤川次郎さんのおすすめミステリー小説10作品-迷ったらコレから読もう

3.綾辻行人『十角館の殺人』

綾辻行人さんの【館シリーズ】の1作目にして最高傑作。

この作品を読んでミステリー小説にどハマりする人も多い。

海に囲まれた孤島に建つ「十角館」と呼ばれる館に訪れた大学生7人が、何者かによって次々と殺害されていくという王道ミステリ。

アガサ・クリスティの傑作『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品であり、閉ざされた空間での殺人を描いた「クローズドサークル」ものの代表作である。

というわけで、まず最初に『そして誰もいなくなった』を読んでおくことをおすすめする。

綾辻行人さんのおすすめミステリー小説ランキング10選

4.綾辻行人『どんどん橋、落ちた』

館シリーズは全て必読だとして、もう一つのおすすめしたい作品がある。

読者へ向けた、ユーモア溢れる「超難問犯人当て」短編集だ。

「読者への挑戦状」の形式をとりつつのかなりの変化球である。

ふざけているように見えて実に面白いものばかりで、表題作の『どんどん橋、落ちた』を初めて読んだ時はガツンと頭を殴られたような感じだった。

頭を柔らかくして取り掛かろう。

5.青木知己『Y駅発深夜バス』

『Y駅発深夜バス』『九人病』『猫矢来』『ミッシング・リンク』『特急富士』の5編からなるミステリ傑作集である。

推理小説というよりは、ミステリーの香りを漂わせた「奇妙な味」と呼ばれるジャンルに近い。

各短編ジャンルが異なり、上質な短編のお手本のようなものばかりで、キレが良く、オチも華麗に決まっている。

中でもホラー風味の『九人病』はイチオシ。

ミステリ関係なしに、面白い短編集を読みたいなら絶対に手に取ってほしい一冊だ。

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6.青崎有吾『体育館の殺人』

「平成のエラリー・クイーン」こと青崎有吾(あおさき ゆうご)さんによる学園ミステリ。裏染天馬(うらぞめてんま)シリーズの一作目である。

中高校生向けの青春ライトミステリーのように見えるが、実際はクイーン並のロジックで事件を解決していく超本格推理小説だ。

体育館で起きた殺人事件を、学校一の天才・裏染天馬が探偵役となり推理していく。

ちょっと変わった天才名探偵の登場、読者への緒戦、ラストは容疑者を集めて推理を披露、などなどミステリの王道的展開でとても楽しませてくれる一冊だ。

7.市川憂人『ジェリーフィッシュは凍らない』

アガサ・クリスティの名作『そして誰もいなくなった』をオマージュした作品であり、「21世紀のそして誰もいなくなった」と呼ばれている。

そんなこと言われてしまえば、読むしかないだろう。

小型飛行船「ジェリーフィッシュ」が雪山に不時着し、乗組員が一人、また一人と殺されていき、最後には誰もいなくなる……という王道の「雪の山荘」ミステリだ。

「ジェリーフィッシュ内での出来事」の章と、「ジェリーフィッシュでの事件を調べる刑事たちの捜査」の章が交互に展開されていく。

ミステリ要素の面白さはもちろん、探偵役となるマリアと九条漣のキャラクターが良いのも大きなポイントだ。

シリーズ化しており、続編の『ブルーローズは眠らない』も面白いので続けて読んでしまおう。

8.周木律『眼球堂の殺人』

周木律(しゅうきりつ)さんによる【堂シリーズ】の一作目。

天才数学者・十和田只人(とわだただひと)が探偵役、ルポライターの陸奥藍子(むつあいこ)がワトソン役となり物語は進む。

天才建築学者・驫木煬(とどろきよう)から招待状を受け取り「眼球堂」へと向かうが、そこで殺人事件に巻き込まれるという王道の本格ミステリだ。

あとがきで周木律さんが、

だが、ひとつだけ自信を持って言えるのは、この建物はきっと、読者をわくわくさせられるだろうということだ。

こんな建物はあり得ない、だが、あり得ない建物で起きるあり得ない事件だからこそ、きっと読み手の心も躍るに違いないということである。

『眼球堂の殺人』544ページより引用

と述べているように、「眼球堂」という建物そのものが大きな魅力となっている。

館モノが好きなら絶対に読んでおこう。

読む順番は、

1.『眼球堂の殺人 ~The Book~

2.『双孔堂の殺人 ~Double Torus~

3.『五覚堂の殺人 ~Burning Ship~

4.『伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~

5.『教会堂の殺人 ~Game Theory~

となる。

9.井上夢人『ラバー・ソウル』

ビートルズマニアの鈴木誠。

36年間孤独で生きてきた彼は、あらゆる偶然が重なってモデルの美縞絵里を車の助手席に乗せることになる。

そこから思わぬ方向に話は進んでいき……。

と、あらすじを話すだけでもネタバレになってしまうような物語である。

なので余計な詮索はしないで、予備知識のない状態で読むことを強くおすすめする。

【特殊ミステリ】井上夢人さんのおすすめ作品を5作品だけご紹介させて

10.二階堂黎人『人狼城の恐怖』

二階堂黎人(にかいどうれいと)さんによる《二階堂蘭子(にかいどうらんこ)シリーズ》の一つ。

第一部 ドイツ編」「第二部 フランス編」「第三部 探偵編」「第四部 解決編」の全四部作からなる物語で、文庫本にして全て合わせると約2700ページほどある。

ゆえに【世界最長のミステリー小説】として語り継がれている。

だがご安心を。とんでもなく長いミステリではあるが、文章は読みやすく、思った以上にスラスラ読めるのだ。

そして読み終わってしまうのが悲しくなるほど、圧倒的な面白さを誇るのである。

11.今村昌弘『屍人荘の殺人』

2018年版「このミステリーがすごい!国内編」で見事1位となった傑作。

神紅大学ミステリ愛好会の会長・明智恭介(あけちきょうすけ)とその助手・葉村譲(はむらゆずる)は、同じ大学の名探偵少女・剣崎比留子と一緒に映画研究部の夏合宿に加わることになる。

しかし合宿一日目の夜、肝試しの最中に【とんでもない出来事】に巻き込まれ、彼らは『紫湛荘(しじんそう)』に立て籠もることに。

そんな外界と連絡が取れなくなった状況下で殺人事件が起こる、「クローズド・サークル」を扱った作品だ。

夏合宿でクローズドサークルとはミステリではお約束のパターンなのだが、クローズド・サークルになる理由がこの作品の大きな特徴である。

2018年版このミステリーがすごい!ベスト10を紹介するよ【国内編】

12.深水黎一郎『ミステリー・アリーナ』

一つの事件に対し、多数の推理が繰り広げられる「多重解決ミステリ」の傑作。

実際「多重解決」を扱った作品は多くあるのだが、今作は一つの事件に対し15通りの推理が繰り広げられるのだ。他作品とは次元が違う。

というのも、今作では実際に殺人事件が起きるのではなく、番組側が用意したVTRに対して何人もの参加者が次々解答をすることで「多重解決」の形式をとっているのだ。

非常に楽しい作品なのだが、どう読んでもミステリ初心者向けではなく、これまで多くの多重推理作品を読んできた読者にこそわかる面白さだろう。

13.西澤保彦『七回死んだ男』

西澤保彦さんの代表作である。

同じ1日を9回繰り返す能力を持っている主人公が、祖父殺しを防ぐために奮闘する物語。

同じ日を繰り返してどうにか祖父を守ろうとしても、その度に祖父は殺されてしまう。

一体どうすればいいのか。無事に祖父を守ることはできるのか。

SF小説でおなじみの「タイムリープ」の設定を取り入れた新感覚ミステリー小説で、二転三転する展開、どんでん返し、と読者を楽しませる要素が満載だ。

14.西澤保彦『彼女が死んだ夜』

西澤保彦さんを代表する【匠千暁シリーズ(タック&タカチシリーズ)】の一作目。

待ちに待ったアメリカ旅行の前夜、浜口美緒が帰宅すると部屋に見知らぬ女の死体があった。

そこから、匠 千暁(たくみ ちあき)、高瀬 千帆(たかせ ちほ)、辺見 祐輔(へんみ ゆうすけ)、羽迫 由起子(はさこ ゆきこ)、の四人が中心となり事件を解決していく。

一つのミステリー小説としてのクオリティはもちろん、この四人の青春小説としても楽しめるのが匠千暁シリーズ最大の魅力だ。

とにかくこの四人のキャラクターがよいので、1作目を読むと続けてシリーズ2作目を手にとってしまうだろう。

読む順番は以下の記事を参考に。

西澤保彦さんのおすすめミステリ小説7選【匠千暁シリーズ】

15.笠井潔『オイディプス症候群』

笠井潔(かさいきよし)さんによる【矢吹駆シリーズ】の五作目。

謎の招待状によって集められた人々が孤島に佇む館で連続殺人に巻き込まれる、という王道の展開。館モノ好きにはたまらない設定である。

このシリーズは哲学・思想、ギリシア神話などを大いに取り入れているのが特徴であり、今作でもそれは存分に表現されている。

なので『そして誰もいなくなった』や『十角館の殺人』のような王道ミステリーとは少々異なるが、それが【矢吹駆シリーズ】の醍醐味だ。存分に楽しもう。

16.山口雅也『キッド・ピストルズの冒涜』

山口雅也さんを代表する【キッド・ピストルズシリーズ】の一作目。

マザーグース(童謡)をテーマとしたミステリ短編集である。

起こる事件も、登場人物も奇抜であるが、トリックも伏線回収も実にハイクオリティで読む者をアッと言わせてくれる。

特に『曲がった犯罪』という短編が傑作。この短編だけでも読む価値があるのだ。

17.山口雅也『生ける屍の死』

舞台はアメリカのニューイングランド。死者が蘇る、というとんでもない設定での殺人事件を描く。

ちょっとあり得ない設定のミステリーだが、死者が蘇る設定を上手く利用して見事な本格ミステリーに仕上げている。

この設定だからこそできる驚きであり、むしろこの設定でなければなりたたないミステリなのだから読むしかない。こんなの他では味わえない。

毒殺され死んでしまった主人公がゾンビとなって生き返り、肉体が腐敗していくタイムリミットがある中で犯人を探していく。

はたして犯人を突き止めることはできるのか。乞うご期待。

18.連城三紀彦『夜よ鼠たちのために』

連城ミステリーを堪能できる、全編ハズレなしの高品質な短編集。

人間関係がドロドロしたものが多く、さらに結末で人間関係がグルリと反転し、まるでだまし絵のような驚きを与えてくれる。

9編全てに意外な結末が用意されているので、騙される快感がお好きな方は絶対に読んだ方がいい。

ただ一編一編濃厚すぎるので、サクサクっと気軽には読めない。

19.連城三紀彦『戻り川心中』

これもまた、連城三紀彦さんの短編集。

文章も物語も非常に美しく世界観にウットリ。まるで恋愛小説のようだ。しかし油断していると最後に「まさか!」と叫ぶことになる。

表題作『戻り川心中』は連城さんの最高傑作だという声も多い。

収録作品は「藤の香」「桔梗の宿」「桐の柩」「白蓮の寺」「戻り川心中」の5編。

『夜よ鼠たちのために』と同じく、全編ハズレなし。

20.多島斗志之『黒百合』

14歳の男の子二人と一人の女の子が六甲の別荘地で出会い、複雑な三角関係を築きながらも青春を謳歌する。

なんだこの青春小説は、と見せかけたところでまさかの真相が明らかになる。

伏線の張り方とミスリードが絶妙なのだ。

一度だけでなく二度読むと、改めてその巧さがわかるようになっている。

文庫の帯に「騙される率100%」と書いてあるのも頷ける。

文庫で250ページほどなので、ぜひお気軽に手にとって、驚愕していただきたい。

21.貫井徳郎『慟哭』

貫井徳郎(ぬくい とくろう)さんの代表作。

連続幼女誘拐事件を捜査している警視庁捜査一課長・佐伯と、新興宗教にハマっていく松本を中心に物語は進んでいく。

一見何の関係もなさそうな2人であるが、次第に話は繋がっていき……。

本作はトリックだけではなくストーリーも純粋に面白く、ラストに向かうにつれてページをめくる手がどんどん加速していく。

そして、その真相に『慟哭』してしまうのだ。

22.有栖川有栖『双頭の悪魔』

英都大学の「英都大学推理小説研究会(EMC)」の部長・江神二郎を探偵役とした、作家・有栖川有栖さんを代表する【学生アリスシリーズ】の3作目である。

前作『孤島パズル』で登場したマリアが、とある山奥にある集落に行ったきり帰ってこないので、EMCのメンバーがマリアを奪還しに行く。

さて、なんとかその村に着いたEMC一同だが、ワケあって部長の江神二郎だけがマリアと合流でき、他の3人(アリス、望月、織田)は別行動をとることになる。

ところが、大雨によって村と村をつなぐ橋が崩壊し、江神グループとアリスグループは接触することができなくなる。ここからがこの作品のポイントだ。

江神たちのいる村とアリスたちのいる村、それぞれの場所で同時に殺人事件が起き、二つの場所でそれぞれ推理をしていくのである。

ここで一番の見所なのが、アリス、望月、織田グループの推理合戦とその他のやり取りである。彼らは江神二郎のような天才的推理力を持っていない。だたのミステリ好きである。

そんな彼らが江神時二郎に頼ることのできない状況で、彼らなりにディスカッションをし推理を披露していく。このシーンが最高に面白いのだ!

まさにミステリ好きならではの青春という感じで、読んでいるだけでこちらも楽しくなってきてしまうのである。

だがシリーズ3作目であるので、もちろん1作目から順番に読まなくてはならない。

順番は、

1.『月光ゲーム
2.『孤島パズル
3.『双頭の悪魔
4.『女王国の城(上)』『女王国の城(下)

となる。

以下の記事も参考に。

学生アリスシリーズの読む順番とあらすじ(長編)-有栖川有栖

23.有栖川有栖『スイス時計の謎』

国名シリーズの中でも最高傑作と名高い『スイス時計の謎』が収められた短編集。

コンサルタント会社を経営していた男が、事務所で何者かに殴り殺された。

犯人は現金やクレジットカードに見向きもせず、被害者の「腕時計」だけを持ち去った。

犯人はなぜ被害者の腕時計を持ち去ったのか、に関して披露される超論理推理が鳥肌モノなのである。

これぞ有栖川有栖さんの真骨頂。絶対に目にしておくべきだ。

有栖川有栖さんのおすすめミステリー小説7選を語らせて

24.法月綸太郎『頼子のために』

法月綸太郎シリーズの長編最高傑作である。

頼子の父親・西村悠史の手記には、頼子を殺した者に対しての復讐劇が書いてあった。

一見ただの父親の復讐劇に見えたが、法月綸太郎はこの手記に不可解な点を発見し、事件を捜査する。

多くは語れないが、どんでん返しを味わいたいなら絶対に読むべき作品である。

どんでん返しがある、とわかっていても騙されるから安心して読もう。

法月綸太郎シリーズのおすすめミステリー小説7選

25.法月綸太郎『法月綸太郎の冒険』

法月綸太郎シリーズの短編集。

長編の最高傑作が『頼子のために』なら、短編の最高傑作は『法月綸太郎の冒険』に収録されている「死刑囚パズル」である。

ある死刑囚が、手錠をはめられて目隠しをされ、踏切台の上に立たされ首を縄に通される。

あとは落下して首を吊って死を待つのみ、という場面で死刑囚が毒殺されたのだ。

つまり【死刑執行される直前の死刑囚をなぜ殺害する必要があったのか?】がメインの謎となっている。

最高に魅力的な謎だ。

そしてそれを論理的に解き明かす法月綸太郎の推理も最高だ。

26.辻村深月『スロウハイツの神様』

正確にいうと、この作品は推理小説ではない。

ほんのりミステリー要素のある青春小説だ。

しかし、どうしてもおすすめしたかったのでミステリー小説ということにして無理矢理ねじ込んだ。

人気脚本家・赤羽環(あかばね たまき)がオーナーを務めるアパート「スロウハイツ」を舞台に、そこに住む漫画家や映画監督を目指すクリエイターの卵たちが織り成す青春物語である。

前半に伏線や謎が大量に仕込まれ、後半に入ってからテンポよく回収されていき、最後の最後で怒涛の展開を迎える、という辻村作品の良さを思いっきり味わえる本当に良い作品だ。

辻村深月さんの最初に読むべきおすすめ作品と読む順番を語っていくよ

27.辻村深月『かがみの孤城』

続いても辻村深月さんの作品だが、これも推理小説ではない。

スロウハイツと同じくほんのりミステリー要素のある青春小説だが、やはり無理矢理ねじ込んだ。

いじめによって学校にいけなくなってしまった中学生・安西こころが部屋にいると、突然鏡が光り出す。

手を伸ばすと鏡の中に引き込まれてしまい、そこには狼の面をつけた少女、お城、そしてこころと同じく「鏡の中に吸い込まれてしまった」という六人の少年少女がいた。

狼の面をつけた少女は言う。「城のどこかに隠されている、願いが叶えられる「鍵」を探せ」、と。

これもまた辻村深月さんの持ち味が存分に活かされた作品で、スロウハイツと並ぶ最高傑作の一つだ。

辻村さんの作品を読むなら、スロウハイツの神様か、このかがみの孤城を最初に読むことを強くおすすめする。

辻村深月さんの『かがみの孤城』が『スロウハイツの神様』並みの傑作だった

28.北村薫『空飛ぶ馬』

北村薫さんを代表する【円紫さんシリーズ】の1作目となる短編集。

人の死なない「日常の謎」をメインとしたミステリーシリーズである。

女子大生である〈私〉が日常で出会った謎を、落語家の円紫(えんし)師匠が解決していく展開。

どの短編も優れているが、中でも、『3人の女子高生たちはなぜ紅茶に砂糖を何杯も入れるのか?』という謎に迫る『砂糖合戦』という短編が非常に面白く、日常の謎のお手本と言えるような出来なのだ。

この短編を読むためだけでも手に取る価値がある。

29.西村京太郎『殺しの双曲線』

西村京太郎さんの最高傑作。

アガサ・クリスティの名作『そして誰もいなくなった』をオマージュした本格ミステリー。

正体不明の招待状が届き、雪の山荘に集められた6人の男女たちに殺人事件が降りかかる。

超王道な舞台設定、引き込まれるストーリー、魅力的な謎、伏線の回収、トリックの巧妙さにすべてが最高級だ。

しかも最初にメイントリックは双生児を利用していると述べているのである。

この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです。
何故、前もってトリックを明らかにしておくかというと、昔から、推理小説にはタブーに似たものがあり、例えば、ノックス(イギリスの作家)の「探偵小説十戒」の十番目に、「双生児を使った替え玉トリックは、予め読者に知らせておかなければ、アンフェアである」と書いてあるからです。

『殺しの双曲線』 P.6より引用

あくまでフェアに、読者に真っ向から挑戦状を叩きつけているのだ!

ぜひ頑張って解いてみよう。

30.下村敦史『闇に香る嘘』

江戸川乱歩賞を受賞、2015年版の「このミステリーがすごい!」で3位となった傑作。

今作のポイントは主人公が目が見えないというところだ。

この設定にするだけで、こんなに緊張感が増す状況を作れることに感心する。

幼い頃に生き別れた兄が日本に帰ってきたのだが、主人公は盲目状態であった。

そしてとあるキッカケで「この兄は本当の兄なのか」と疑い始める。

顔を確認できない主人公は、ありとあらゆる手段で兄の正体を探っていくが……。

終盤では息もつかせない二転三転する展開に圧倒されるだろう。

31.下村敦史『生還者』

謎が謎を呼ぶ山岳ミステリの名作。

主人公の兄はヒマラヤで雪崩にあい遭難した。そこにはいくつもの疑問があった。

4年前の遭難事故以来、山から遠ざかっていた兄がなぜヒマラヤに登ったのか?

しかも残された兄のザイルには、明らかに故意に傷を付けた跡があった。

さらに遭難から生還したの2人の証言が大きく違っていた。どちらの言っていることが正しいのか。

山登りの知識が全くなくても、スルスルと読まされてしまう下村さんの筆力。

そして文章の読みやすさが後押しし、息つく暇もなく一気読みさせられてしまうのだ。

32.中山七里『連続殺人鬼 カエル男』

序盤まではよくあるサイコスリラー小説と思わせておいて、中盤から様子がおかしくなっていき終盤で怒濤の展開を迎える。

どんでん返し好きな人は必読の、非常によく練られた作品だ。

かなりバイオレンスな内容なので読むのに力が入ってしまうが、ミステリがお好きなら最後まで頑張って読む価値がある。

思わず「一体なんだこりゃあ!」と叫んでしまうだろう。

続編の『連続殺人鬼カエル男ふたたび』もあるので2作続けてどうぞ。

33.横溝正史『獄門島』

金田一耕助シリーズの一つであり、横溝正史氏の最高傑作と呼ばれている。

戦友・鬼頭千万太が死ぬ間際に残した「獄門島へ行ってくれ。……妹たちを助けてくれ。……妹たちが殺される。」という言葉を気にかけ、金田一耕助は獄門島へと向かう。

そこで待ち構えていたのは、奇妙な三姉妹、発狂して牢屋に閉じ込められた父親、そして世にも恐ろしい残虐な殺人事件だった。

古き因習が残る閉鎖的な島、という舞台に加え、戦後まもない時代背景がよりおどろおどろしさを醸し出している。

それに加え残虐な見立て殺人である。ミステリ好きが興奮しないわけがない。

もちろん雰囲気が良いだけではなく、ミステリー小説としても一級品であり、終盤に金田一耕助が真相を明かしていく場面は何度読んでも興奮してしまう。

フーダニット、ハウダニット、ホワイダニット、いずれもが完璧と言っても良いくらいのクオリティを誇っているのだ。

そしてあの恐るべき真相に驚愕しよう。

横溝正史『金田一耕助シリーズ』のおすすめランキングベスト7

34.横溝正史『本陣殺人事件』

金田一耕助の初登場作品。

死体が発見された離家の周りには足跡のない雪が積もっていた、という「雪の密室」を扱った本格推理小説である。

戦後の雰囲気、日本家屋という舞台、奇怪な殺人、伏線の巧みさ、そしてあの奇抜なトリック、と申し分ないワクワク要素が揃っており、ミステリ好きなら必読以外のなにものでもないのだ。

拍手喝采の見事なトリックをぜひ目にしていただきたい。

同時収録されている『黒猫亭事件』『車井戸はなぜ軋る』もまた絶品。

35.島田荘司『占星術殺人事件』

島田荘司(しまだそうじ)さんのデビュー作であり、名探偵・御手洗潔(みたらいきよし)が初登場となった傑作である。

40年以上前。6人の女性を殺して各自の完璧なパーツを寄せ集めて一つにし、一人の完璧な女性を作るという猟奇的な事件が起こった。

以後40年以上解かれることのなかったその事件に、御手洗潔が挑む。

序盤がやや読みにくいが、序盤を過ぎればどんどん面白さくなっていきページをめくる手が加速していく。

そしてやはり1番の見所は、多くの読者をアッと言わせたその超絶トリックだ。

日本のミステリー小説の歴史に名を残す衝撃の真実が待ち構えている。

島田荘司『御手洗潔シリーズ』の読む順番とオススメについての話

36.島田荘司『奇想、天を動かす』

島田荘司さんを代表する「御手洗潔シリーズ」ではなく、「吉敷竹史シリーズ」の一つ。

わずか12円の消費税によって一つの殺人事件が起こった。

単純な事件に思われたが、完全黙秘する犯人の老人に、吉敷竹史は不信感を覚え捜査を始める。

タイトルに『奇想、天を動かす』とある通り、メインとなるトリックがまさに「奇想」そのもの。

社会派ミステリであり、本格探偵小説としても楽しめる大満足できる一冊である。

37.殊能将之『ハサミ男』

第13回メフィスト賞受賞作。どんでん返しミステリでおなじみの傑作である。

連続殺人鬼「ハサミ男」が次に殺そうとしていた人物が、自分の殺し方を真似た別の誰かに殺されてしまった。

自分以外の誰がなんの目的で殺害したのか?ハサミ男は自ら捜査を始める。

説明不要、ミステリ好きなら読んでおいて間違いない。

いろんなレビューはあまり見ずに、なるべく知識ゼロの状態で読むことを強くオススメする。

38.殊能将之『鏡の中は日曜日』

「石動戯作シリーズ」3作目の傑作ミステリ。

研究者・瑞門龍司郎が住む「梵貝荘」で起きた殺人事件を元に、作家の鮎井郁介は小説『梵貝荘事件』を執筆する。

時を経て現在、名探偵・石動戯作の元に「梵貝荘」で起きた事件の再調査を依頼の依頼が舞い込む。

やられた!と叫びたいのなら読んで間違いない一冊。

できれば石動戯作シリーズ1作目『美濃牛』2作目『黒い仏』を順番に読んでおくとより楽しめる。

39.森博嗣『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』

S&Mシリーズ】の一作目にして傑作。

犀川創平、西之園萌絵を含めた大学の研究室メンバーが、とある孤島へと旅行に出かけた。

そこには天才・真賀田四季(まがたしき)博士が在する研究所があり、犀川&西之園ペアはその研究所へと向うことに。

が、そこでとんでもない殺人事件に巻き込まれてしまう。

なんと両手両足が切断され、ウエディングドレスを身にまとった死体が発見されたのだ。しかも殺害された現場が非常に複雑な密室であり、解決は困難を極めた。

ラストで明らかになる壮大な密室トリックは「お見事」の一言。計り知れない衝撃を受けた。

ミステリー小説が好きな方も、あまり読まない方も、もし未読であればぜひ優先的に読む事をオススメする。

【すべてがFになる】森博嗣「S&Mシリーズ」の順番やあらすじを語りたい

40.白井智之『東京結合人間』

『東京結合人間』の世界では、人と人とが生殖を行う際に、男女のどちらかが相手の肛門から入り込み、人間同士が結合し「結合人間」となる。

その際、数千組に一組程度での割合で結合後に【嘘がつけなくなる】現象が起きる。

この嘘が付けない結合人間を「オネストマン」呼び、「オネストマン」ばかりを集まった孤島で殺人事件が起こる。

しかし嘘が吐けないはずなのに、すべての「オネストマン」が殺害を否定。これは一体どういうことか。

という、「嘘がつけない人間しかいない孤島での殺人事件」を描いた、白井智之さんにしかできない作品だ。

かなり特殊な世界観と設定ではあるが、ミステリとしての面白さは一流。

41.三津田信三『首無の如き祟るもの』

刀城言耶シリーズ】3作目にして最高傑作である。

メインとなるのは「首の無い死体」。ミステリー小説では定番極まりない謎だが、三津田さんの手にかかれば予想をはるかに超えるものにしてくれる。

ホラーのテイストはしっかり残しつつも、本格ミステリーとして唯一無二の面白さを誇るのだ。

特にラスト数十ページの怒涛の展開がすごすぎる。あまりにドンデン返しするため思わず笑ってしまい、その後声を失ってしまったほどだ。

間違いなく読まないと損である。

本当は一作目から順番に読んでいただきたいが、この作品だけ読んでも十分に楽しめる。

もしシリーズを順番に読むのがめんどくさいという方は、せめてこの作品だけでも読んでほしい。

ホラーミステリの傑作「刀城言耶シリーズ」の読む順番とかあらすじを語りたい

42.伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』

引っ越したてのアパートで出会ったばかりの青年に「一緒に本屋を襲わないか」なんて言われて、なぜか本当に協力してしまった主人公。青年の狙いは1冊の広辞苑のようで……。

と、まるで意味のわからないあらすじとタイトル。が、その内容は想像をはるかに超える面白さだった。

いわゆる「本格ミステリ」として読むものではないが、ある種のどんでん返しを味わえるし、一つのエンタメ小説、伊坂小説としては文句なしにオススメしたい。

毎度のことながら、終盤で伏線が一気に回収されていく感じが最高だ。

伊坂幸太郎さんのおすすめランキング12選を作ったので見てほしい

43.折原一『倒錯のロンド』

叙述トリックの名手との異名を持つ折原一(おりはらいち)さんの名作。

とある男が全身全霊をかけて書き上げた『幻の女』という小説が盗まれてしまう。しかもその盗まれた『幻の女』が別の著者名で新人賞獲得する。

一体なぜ?その作品は俺が書いたものだ!と怒った原作者と、盗作者とのロンドが楽しめる作品である。

終盤のどんでん返しの連続は圧巻であり、ミステリー小説の醍醐味を思いっきり味わえてしまうのだ。ああ、ありがたし。

叙述トリックの名手。折原一さんのおすすめ小説8選を語りたい

44.折原一『異人たちの館』

折原一さん自身が「マイベスト」と述べている傑作。

「あなたのマイベストは何ですか?」と聞かれることがたまにある。そういう時、私は決まって『異人たちの館』と答えている。
この作品を書いたのは、四十代前半のもっとも気力充実していた頃であり、その時点における自分の持っているすべてをぶちこんでいるので、個人的には読者に自信を持ってお勧めできるのである。

『異人たちの館』P.601  文春文庫版あとがき より

こんな事を言われたら読むしかないだろう。

お得意な叙述トリックだけに頼る事なく、あくまでパーツの一つとして組み込んでいることでより複雑に捻りあった物語になっているのも素晴らしい。

最後の方は二転三転どころか七転八転くらいする。頭が混乱してもうどうでもよくなる。

45.北山猛邦『アリス・ミラー城 殺人事件』

北山猛邦(きたやまたけくに)さんによる「城シリーズ」第3弾。

『鏡の国のアリス』を彷彿とさせる世界観の「アリス・ミラー城」に集められた探偵たちに連続殺人が降りかかる。

館モノが好きな人にはたまらない設定だ。

しかも、最後の最後で明かされる真相は、数あるミステリー小説の中でもトップクラスの衝撃を誇る。

「やられた!」と思いっきり叫びたい人にとてもオススメだ。

46.柚月裕子『盤上の向日葵』

柚月裕子(ゆづきゆうこ)さんの最高傑作。

山中で発見された白骨死体と一緒に、初代菊水月作の希少な駒埋められていた。なぜこの駒が一緒に埋められていたのか。

謎そのものがまず魅力的だし、人間ドラマとしても面白い。ミステリー小説の枠を超えた大作である。

将棋の話が出てくるが、もちろん将棋のこと詳しくなくても問題なく楽しめるのでご安心を。

刑事たちの視点と、一人の少年の半生が同時進行で語られていく構成が巧みで、休む暇を与えてくれない。

ただただ、「とてつもない物語」なのだ。

47.今邑彩『時鐘館の殺人』

今邑彩(いまむらあや)さんの名作ミステリ短編集。

ピリッとくる捻りの効いた『生ける屍の殺人』や、伏線回収と二転三転が楽しい『黒白の反転』、ゾクゾクっとするほぼホラーな『恋人よ』などレベルの高い短編ばかりが収められている。

どの作品にも質の高い「仕掛け」が施されており、短編ながら満足感はすこぶる高い。

中でも表題作『時鐘館の殺人』は、構成とラストの展開が見事すぎてとんでもないことになっている。

この表題作だけでも読む価値大アリなのだ。

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48.鳥飼否宇『死と砂時計』

第16回本格ミステリ大賞受賞作。

世界各国から集められた死刑囚を収容する「ジャリーミスタン終末監獄」を舞台にした連作短編ミステリー。

監獄ならではの特殊な謎が満載であり、どの短編もクオリティが高く、前編通しての伏線の忍ばせ方の絶妙であり、謎の見せ方もお上手。

なぜわざわざ死刑が確定している死刑囚を殺害するしたのか?というホワイダニットも面白い。

最後の短編を読み終わった時の後味が最高なので、時間を開けずに一気読みする事をオススメする。

49.高木彬光『刺青殺人事件』

神津恭介シリーズの一作目。

高木彬光(たかぎあきみつ)さんのデビュー作であり、日本三大名探偵の一人・神津恭介の初登場作品。

背中に大蛇丸の刺青を彫った女が、密室となった浴室で胴体のない状態で殺されていた。

物語が三分の二ほどを過ぎたころ、満を持して神津恭介登場。鮮やかすぎる推理で真相明らかにする。

読者の目を欺く心理トリックが見事。古典ミステリーの良いところがたくさん詰まった作品である。

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50.高木彬光『人形はなぜ殺される』

タイトルからして最高だ。

神津恭介シリーズの中でも『刺青殺人事件』と並び最高傑作との呼び声が高い作品。

人形が壊され、その後その人形と同じように人間が殺される。犯人はなぜわざわざ最初に人形を壊すのか。

『刺青殺人事件』では天才的な推理を披露した神津恭介が、今作では苦戦を強いられる。

トリック、動機、ホワイダニット、いずれも最高峰。「人形が殺される」理由が明らかにされた時の衝撃がたまらない。

51.倉知淳『星降り山荘の殺人』

雪に閉ざされた山荘で起きる連続殺人を描く王道本格ミステリ。

「どんでん返しミステリ」としてまず名前があがる名作だ。

些細なことでもネタバレになってしまうので、ネタを知ってしまう前に読んでしまう事をオススメする。

素直な気持ちで読めば、本当に気持ちの良いくらい騙されてしまうのだ。拍手をしたくなるくらいに。

多くのミステリファンを虜にしたあの衝撃は、一度味わってしまうと並みのどんでん返しでは驚けなくなってしまうのが唯一の難点。

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52.倉知淳『過ぎ行く風はみどり色』

「猫丸先輩シリーズ」の2作目。

実家で幽霊騒ぎが起き、叔父が霊能者にハマってしまった、ということで実家に帰った主人公が密室殺人に巻き込まれてしまう。

霊媒師が悪霊の仕業だと言うので降霊会が行われるが、その最中にまた殺人が起きる。

「犯人はなぜデメリットが多い〈降霊会の最中〉になぜ殺害したのか」が真相を暴くポイント。

伏線の回収、どんでん返し共に華麗だ。猫丸先輩の推理に惚れ惚れしてしまう。

そしてミステリの枠を超えた「小説」としての面白さがこの作品にはある。タイトルのような爽やかな読み心地と読後感なのだ。

シリーズ2作目であるが、この作品から読んでも問題なく楽しめる。

が、今作を読めばきっと猫丸先輩のファンになるので、短編集『日曜の夜は出たくない』や『夜届く-猫丸先輩の推測』を読む事も強くおすすめする。

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53.早坂吝『○○○○○○○○殺人事件』

第50回メフィスト賞受賞作。

そんなバカな!と言わせてくれる「バカミス」としても有名であるが、孤島を舞台にした本格ミステリとしての出来も抜群だ。

まさかの真相はあまりにぶっ飛んでいて、もしかしたら「ふざけるな!」と言ってしまう人もいるかもしれない。それほどに斜め上をいく衝撃なのである。

良くも悪くも「やられた」感を味わいたいなら、これがメフィスト賞であることを覚悟してぜひ「タイトル当て」に挑戦してみてほしい。まず、当てられないだろう。

54.井上真偽『その可能性はすでに考えた』

この作品の主人公である上苙丞(うえおろじょう)という探偵は、「奇蹟」に出会うために探偵活動をしている。

つまりは、事件においてのあらゆる可能性を否定し、その事件が「奇蹟」であることを求めているのだ。

かなりの変人である。

本来名探偵というものは『不可能なものを排除していき、残ったものがどんなに信じられないものでも、それが真実である』とするべき者だが、上笠はその逆を探偵。

『あらゆる可能性を排除していき、その事件が絶対にありえない「奇蹟」である』ことを証明していくのだ。

もうこの設定だけで面白いが、今作は探偵だけでなく事件も謎もトリックも全てにおいて面白い。

55.石持浅海『扉は閉ざされたまま』

碓氷優佳シリーズの一作目。

探偵ではなく犯人視点で物語が進んでいく形式をとる倒叙(とうじょ)ミステリの名作である。

犯人である伏見亮輔がペンションでの同窓会中に殺人を犯し、密室を作り上げる冒頭。そこに偶然居合わせた碓氷優佳が事件を推理していく。

この作品はタイトル通り、「扉は閉ざされたまま」事件を推理していくのが特徴だ。

密室の扉を開けずして、碓氷優佳は一体どうやって事件を解決するのか。大きな見所である。

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56.貴志祐介『青の炎』

家族を守るために一人の男を殺した、17歳の櫛森秀一という青年の孤独な戦いを描く。

犯人の視点で物語が進む倒叙ミステリの名作であり、青春小説としての傑作でもある。

櫛森秀一は、年齢にしては頭がキレるが、所詮はやはり17歳。

自分の頭の良さを過信している、けれども絶対にやり切るんだという高校生らしい思いが、辛いくらいに伝わってくる。

もともと倒叙ミステリというのは犯人をつい応援したくなってしまうものだが、この作品のほど犯人の味方になってしまうのは稀である。

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57.西尾維新『クビキリサイクル』

ライトノベル風のキャラ重視のライトミステリーと見せかけた、本格ミステリ

西尾維新さんの世界観と、本格ミステリとが見事に融合を果たした名作である。

あらゆる分野の「天才」とよばれる人間が集まった孤島の屋敷での殺人事件を描く。

西尾維新さんらしいクセはあるが、文章自体はとても読みやすく、ライトノベルのようにサクサク読むことができる。

忍ばされた伏線を回収していきながらの推理シーンは圧巻であり、意外な犯人、鮮やかなどんでん返し共にお見事。

58.鮎川哲也『五つの時計』

収められている十編すべてが「傑作」という奇跡の短編集。

アリバイものの大傑作『五つの時計』をはじめ、

本格ミステリの教科書とも言えるフーダニット&パズラー『薔薇荘殺人事件』、

時刻表トリックにして最後の逆転が鮮やかすぎる『早春に死す』、

密室の王者・カーの『白い僧院の殺人』へと挑戦した『白い密室』、

などなど、短編ながら密度が高くヒネリの効いたものばかり。

とにかく盲点を突くのがお上手であり、真相を明かされた後に「あああ!」と声を上げてしまうのだ。

ミステリがお好きであれば、読まないと確実に損である。

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59.鮎川哲也『リラ荘殺人事件』

「リラ荘」に訪れた芸大生七名に降りかかる殺人劇を描く、「これぞ本格推理小説!」といった感じの王道ミステリである。

テンポよくバンバン人が殺されていくのだが、その一つ一つのトリックがもう贅沢なぐらいに質が高い。

いたるところに張り巡らされた仕掛け、緻密な伏線とその回収も見事の一言。解決編でのすべての点と線が繋がっていく感じは本当に気持ちが良い。

山荘を舞台としているがクローズドサークルものではなく、警察も普通に出入りしているのもポイントとなる。

フーダニット(犯人は誰なのか?)はもちろん、死体の横にトランプカードが置かれるなど、魅力的な《ホワイダニット(なぜそんなことをしかのか?)》が豊富に盛り込まれているのも嬉しい。

さらに最後には、推理小説らしく名探偵が登場し、華麗に事件を解決していく。

どこまでも「本格」を楽しめる作品なのだ。

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60.麻耶雄嵩『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』

麻耶雄嵩(まやゆたか)さんによる「メルカトル鮎シリーズ」の一作目。

蒼鴉城という奇妙な館で起こる殺人事件を描く。

密室や見立て、首なし死体など、本格要素が盛りだくさんであるが、普通の本格ミステリーとは一味違うのが麻耶作品の魅力である。

終盤には思わず声をあげてしまうようなまさかの展開が待っているのだ。

シリーズ一作目ということもあるので、まだ麻耶さんの作品は読んでない、という方はまずこの作品を読む事を強くオススメする。

61.麻耶雄嵩『蛍』

10年前、殺人事件があった「ファイアフライ館」にやって来た大学生たち。

惨劇の起こった館にワクワクしつつ肝試しを楽しもうとする学生たちだったが、第一の殺人が起き、嵐の影響で館に閉じ込められてしまう。

嵐の中に閉ざされた館での殺人事件、というミステリ好きにはたまらない王道設定が楽しめる一作。

しかも、麻耶さんらしい独特の仕掛けも設置されており、最後の最後まで読者を楽しませてくれるのだ。

館モノがお好きならぜひ読んでおこう。

62.東野圭吾『悪意』

東野圭吾さんによる「加賀恭一郎シリーズ」の第4弾。

今作は『犯人当て(フーダニット)』や『トリック(ハウダニット)』を推理することがメインではなく』、『なぜ犯行に及んだのか?(ホワイダニット)』をメインとしたミステリである。

ある人気作家が殺されるのだが、犯人はすぐに逮捕される。しかし動機を決して話そうとしない。その理由を加賀恭一郎が紐解いていくのである。

ホワイダニット作品をあまり読んだことがない方はぜひ一度読んでほしい。かなりの衝撃を受けるだろう。

シリーズの4作目であるが、この作品から読んでも問題ないのでご安心を。

63.東野圭吾『仮面山荘殺人事件』

男女8人でワイワイやっていた山荘に、逃走中の銀行強盗が侵入。

そして銀行強盗が山荘に居座る中、殺人事件が発生。しかし、犯人は銀行強盗たちではないという。では一体誰が?

伏線の張り方とミスリードがうまい、純粋にものすごく面白いミステリー小説である。

終盤の展開には思わず「そういうことか!」と唸ってしまう。

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64.江戸川乱歩『孤島の鬼』

乱歩作品ので特におすすめなのがこの『孤島の鬼』。

乱歩らしいおどろおどろしい不気味な雰囲気とミステリの交わり具合が、数ある乱歩作品の中でも格別なのだ。

江戸川乱歩の最高傑作との呼び声も高く、多くの読者を虜にしている。

冒険小説の要素もあり、この一冊に乱歩ワールドがこれでもかと詰め込まれているため、純粋に小説としての満足度も高い。

なぜもっと早く読んでおかなかったのか、と後悔するだろう。

65.蘇部健一『六枚のとんかつ』

究極のおバカミステリ短編集である。

それ以上、それ以下でもない。

ベタベタなギャグや下ネタがちりばめられており、読みながら「な自分はぜこんなものを読んでいるのか」と呆れてしまうのだ。まるで小学生の発想なのである。

だが、なぜかページをめくる手が止まらず、知らず知らずのうちに一気読みしてしまう、そういう作品なのだ。

真面目に王道の本格ミステリを読みたい!という方におすすめしたら間違いなく怒られるだろう。どうか広い心で読んでほしい。

66.東川篤哉『交換殺人には向かない夜』

非常にユーモラスでありながらしっかり本格ミステリが楽しめる、東川篤哉(ひがしがわとくや)さんによる「烏賊川市シリーズ」の4作目。

コミカルなキャラクターやユーモアのある描写で気をそらせつつ、実は本格なミステリをしていて驚かせてくれるという作風が見所である。

数々の伏線をユーモアたっぷりの展開で隠し、終盤で一気に回収していく様は爽快。東川作品の醍醐味を思いっきり味わえるのだ。

「やられた!」を通り越して「お見事!」である。よくこんな物語をかけたものだ。

東川篤哉さんの最高傑作をぜひ堪能あれ。

67.筒井康隆『ロートレック荘事件』

筒井康隆さんの傑作ミステリ。

とある山荘を舞台に連続殺人が起きる、といういたって王道の展開で始まるが、普通には終わらない。

ミステリ慣れしていないとあまりの衝撃に目玉が飛び出そうになるはず。「騙される気持ちよさ」というのを存分に味わえるのだ。

仕掛けは結構丁寧で、しっかり読めば分かるようになっているのだが、初見ではなかなか気が付けない。二回目を読むと「ああ、ここにもヒントが!」と唸ってしまうのだ。

文庫にして約220ページほどなので、長編が苦手な方にもおすすめ。このコンパクトさが良い。

68.幡大介『猫間地獄のわらべ歌』

江戸時代を舞台にした時代小説ミステリで、密室、見立て殺人、読者への挑戦も楽しめちゃう実に本格的な内容。

だが!

読者に「そんなバカな!」と絶叫させてしまう「バカミス」の傑作なのである。

密室で発見された死体をどうにか殺人として理屈づけしようとする展開がもうおバカ的に面白い。

時代小説かと思いながら読み進めていくと、まさかまさかの大トリックにビックリさせられてしまうのだ。

気持ちよく騙されることができれば、それはそれは気持ちがいい体験ができる。ぜひ肩の力を抜いて挑もう。

69.門前典之『屍(し)の命題』

雪山の山荘が舞台という王道のシチュエーション。 そこで一人また一人と死んでいき……というお決まりの展開で物語は進む。

そしてトップレベルのバカミスである。油断しているとラストの展開でぶっ飛んでしまうのだ。一度味わえば一生忘れられないだろう。

島田荘司作品ばりのアクロバティックなトリックをどう受け止めるのか、読者の気持ち次第で大きく評価が変わる作品でもある。

私は大絶賛である。

70.我孫子武丸『殺戮にいたる病』

我孫子武丸(あびこたけまる)さんの最高傑作。

残忍で猟奇的な描写が多く、殺人シーンは気持ち悪すぎて目をそらしたくなるほどだ。

しかし、ただのグロい小説ではなくミステリー小説として一級品の面白さなので、グロいのを我慢してでも読む価値がある作品である。

伏線回収の仕方、ミスリードのさせ方もお見事という他ない。

とにもかくにも衝撃的なラストを迎えるので、細かいことは下調べせず、ネタバレに遭遇する前に読んでしまおう。

71.七河迦南『アルバトロスは羽ばたかない』

七河迦南(ななかわ かなん)さんの七海学園シリーズ2作目。

舞台となるのは、児童養護施設・七海学園。

前作『七つの海を照らす星』に引き続き、保育士・北沢春菜は、学園内で起きる不思議な事件に追われていた。

そして学園の少年少女が通う高校の文化祭の日、校舎屋上からの転落事件が起きてしまう……。

この転落事件をメインとし、春菜がこの春から晩秋にかけて出くわした四つの事件とともに物語は進んでいく。

まず物語そのものが良い話で、終盤での綺麗な伏線回収とどんでん返しが圧倒的。本当にお見事なひっくり返しなのだ。

この作品を最大限に楽しむためにも、一作目の『七つの海を照らす星』は絶対に読んでおこう。

72.岡嶋二人『クラインの壺』

岡嶋二人(おかじま ふたり)さん最終作にして傑作。

VR(ヴァーチャルリアリティ)ゲームのシナリオを作った主人公が完成したゲームをプレイしていくが、だんだん現実とゲームの境がわからなくなっていき……という展開。

ミステリーとしてもサスペンスとしても最高に面白い。

携帯電話すらなかった1989年に、これほどリアルに近未来的な世界観を作り出したことがまず衝撃的だ。

そして結末もまた考えさせられるもので、ある意味恐ろしい発想である。

とにかく先が気になって仕方ないストーリー展開とテンポの良さで一気読みは必須。寝不足に気をつけよう。

73.岡嶋二人『そして扉が閉ざされた』

事故で死亡した女性の遺族にシェルターに閉じ込められた男女4人が、脱出を図りながら女性の死の真実を推理していく。

「密室からの脱出」を目指しながらも「女性の死は本当に事故なのか?それとも殺人なのか?」という完全な密室での推理合戦が見ものである。

終盤の二転三転する推理にはドキドキさせられるし、真犯人がわかった時の爽快感も素晴らしい。

また主要人物が5人と少なく、推理のみに集中できるのも面白いポイントだ。

74.道尾秀介『向日葵の咲かない夏』

道尾秀介(みちお しゅうすけ)さんの代表作。

夏休み前の就業式の日に、首を吊って死んでいたS君を発見。しかし数日後、S君はあるものに生まれ変わって目の前に現れ、「僕は殺された」と言い始めた。

ややファンタジー要素を取り入れており、普通の本格ミステリとかなり異なる変化球である。

そのため好みが分かれることでも有名だ。が、ハマる人には絶対にハマる。何より真相が衝撃的なのだ。

「やられた!」どころではなく「嘘でしょ!?」のレベルだ。とにかく騙されたい人は読むべし。

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75.京極夏彦『姑獲鳥の夏』

京極夏彦(きょうごく なつひこ)さんによる『百鬼夜行シリーズ(京極堂シリーズ)』の一作目。

二十ヶ月も身籠った娘、その夫は密室から消失。

そんな謎を解いていくわけだが、ミステリー小説と妖怪小説を融合させたような、とにかくジャンル分けが不可能な作品である。

ミステリだとか推理小説だとか、そんな細かいこと関係なしに面白いのだ。

この世界観が自分に合うか合わないかを確かめるためだけでも読む価値ありだろう。

文庫で600ページ超えであるが、難解なように見えて読みやすいし、これでもシリーズの中ではかなり薄い方である(シリーズの中には1400ページを超えるものもある)。

76.沼田まほかる『ユリゴコロ』

読んだ後に嫌な気分になるミステリー、通称「イヤミス」がお得意の沼田まほかるさんの名作。

父の書斎で「ユリゴコロ」とタイトルのつけられた4冊のノートを見つけた主人公。

好奇心に惹かれ「1」と書かれたノートを読んでみると、そこには殺人者による告白文が綴られていた。

なぜこんなものが父の書斎に?これは誰が書いたものなのか?

終盤に次々と明かされていく真実に驚愕しっぱなし。伏線回収の仕方もお上手で、衝撃のラストには爽快感すら感じさせてくれる。

77.泡坂妻夫『乱れからくり』

あらゆる「からくり」を駆使した泡坂妻夫(あわさか つまお)さんの大傑作。

主人公たちがとある人物を尾行していたら、隕石が落ちてきてその人物が死亡。それを皮切りに奇妙な連続殺人が始まる。

隕石に当たって死亡するなんでバカミスのようであるが、ところがどっこい見事なトリックを見せてくれる本格ミステリなのだ。

各トリックが凝っており犯人の意外性も十分。

終始からくりに翻弄され、結局最後の最後まで泡坂さんの手のひらの上で転がされてしまうのである。

78.泡坂妻夫『11枚のとらんぷ』

騙しの天才っぷりがよくわかる一冊。

奇術ショーで登場するはずだった女性が自宅で死んでいた。死体の周りには奇妙な品物が置いてあり……。

この作品では「11枚のとらんぷ」という短編作品が作中作として登場する。

その短編だけでも面白いし、それが見事に長編へと繋がっていく過程がお見事なのである。

構成が凝っているし、伏線の張り方も可憐だし、最後の謎解きは捻りがあるし、とにかく言うことなしに面白いのだ。

泡坂妻夫さんらしい仕掛けが実に楽しく、散りばめられた伏線が回収されていく様は快感である。

79.乾くるみ『イニシエーション・ラブ』

乾 くるみ(いぬいくるみ)さんの代表作。

「必ず2回読みたくなる」のキャッチコピーで有名な作品だ。

合コンで出会った僕とマユの甘酸っぱい青春恋愛小説、かと思わせておいてラストの衝撃で全てを置き去りにする。

序盤から普通の恋愛小説としか思えないストーリー展開で、ミステリー小説らしい謎も何も起きない。

だが、最後まで読めば自分がとんでもなく騙されていたことに気が付くことができる。

そしてキャッチコピー通り、気がつけば2回読み返してしまうのだ。

80.天藤真『大誘拐』

誘拐物の傑作。

大富豪のおばあちゃんを誘拐し、100億円もの身代金を要求する3人の誘拐犯。

ところがこのおばあちゃんがとんでもない人物であり……!という展開。

犯人も憎めない良い奴で、終始ユーモアに溢れたとても楽しいミステリー小説である。

ユーモアとシリアスの緩急の付け方が上手く、グイグイ物語へと引き込まれていく手法もさすが。

後味もよく、ミステリとか関係なしに大勢の人に読んでほしいと思える、そんな作品。

81.小林泰三『アリス殺し』

小林泰三(こばやし やすみ)さんの名作。

「不思議の国」と「現実の世界」がリンクしており、「不思議の国」の住人が死ぬと「現実の世界」でもその住人に該当する人物が死ぬ、という設定が見所。

この設定ならではの仕掛けに読者はほぼ間違いなく騙されるだろう。どんでん返しもビシッと決まっている。

不思議の国というとほんわかしたイメージがあるが、作中にはグロい描写が度々登場するので苦手な方はご注意を。

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82.服部まゆみ『この闇と光』

服部まゆみさんの最高傑作。

中世ヨーロッパの世界観と美しい文章、読んでいて思わずウットリしてしまうようなゴシックミステリー。

森に佇む屋敷に住むまだ幼い盲目の「レイア姫」と王である「父」、使用人の「ダフネ」という人物を中心に物語は進んでいく。

文庫版の帯には

すべての世界が崩れゆく快感!!
見事な大どんでん返しでミステリファンを熱狂させた幻の傑作。

『この闇と光』帯より

なんて書いてあるどんでん返しのある作品。

どんでん返しがあるとわかっていても騙されるので安心して読んでしまおう。

文庫にして300ページという短さで綺麗にまとまっているのも良い。

83.歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』

歌野晶午(うたの しょうご)さんの代表作。

とにかくラストの衝撃度が高いハードボイルドミステリである。

初めて読んだ時、あまりの衝撃に声を失ったことを今でも覚えている。

ただあまりに想定外なために評価が別れてしまうのが勿体無い作品だ。

とにかく「やられた!」「マジかよ!」という気分を味わいたいなら読んで損はない。

真相がわかったあと、もう一度最初から読みたくなる小説だ。

84.歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』

チャットを通じて5人の参加者のうち1人が殺人を犯し、他のメンバーでそのトリックを当てる推理ゲームを描いたミステリー小説。

一般的なミステリー小説には欠かせない犯人当て(フーダニット)の要素を省き、その「どうやって犯行に及んだのか(ホワイダニット)」のみを推理することに特化した面白い試みの作品だ。

一巻で完結しているがその後シリーズ化され、2作目『密室殺人ゲーム2.0』3作目『密室殺人ゲーム・マニアックス』へと続く。

一作目が気に入ったらぜひ続けて読んでみよう。

85.横山秀夫『第三の時効』

警察小説の傑作。

横山秀夫さんによる「F県警強行犯シリーズ」の第一弾である。

警察短編小説として最高峰の面白さを誇る。

短編ならではの読みごたえとテンポ、ミステリとしてのオチも完璧なのだ。

警察内部の組織機構や捜査一課の役割など、細かい部分まで丁寧に描かれているため臨場感も凄まじい。

単に真相を解き明かす面白さだけでなく、オチに行き着くまでの過程、雰囲気、キャラクター、どれをとっても圧巻である。

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86.北森鴻『凶笑面』

蓮丈那智フィールドファイルシリーズの一作目。

年齢不詳、短髪。身長も高い中性的な美女・蓮丈那智(れんじょうなち)を探偵役とした連作ミステリである。

このシリーズの特徴はミステリーに「民俗学」を絡ませているところにある。むしろ民俗学の方がメインと言っていいくらいだ。

民俗学の怪しげな雰囲気はミステリとの相性が抜群であり、他のミステリ作品では味わえない新鮮な世界を体験することができる。

民俗学に関する知識がないほど、新しい発見があってこの作品を楽しむことができるはずだ。私もはじめて読んだ時は民俗学の知識なんてなかったが、この作品で民俗学の面白さを学ぶことができた。

しかも蓮丈那智のキャラが抜群に良く、助手・内藤三國との絡みも非常に面白い。キャラ小説としても楽しめてしまうのだ。

ぜひこの作品を通して民俗学の面白さを味わっていただきたい。

87.真梨幸子『殺人鬼フジコの衝動』

イヤミスの女王・真梨幸子(まりゆきこ)さんの名作ミステリー。

真梨幸子さんの面白い作品はたくさんあるが、まずはこの作品をおすすめしたい。

タイトル通り、殺人鬼フジコがどんどん人を殺していき、『彼女はなぜ殺人鬼となってしまったのか?』に焦点が当てられて物語は進んでいく。

人間心理の描写の生々しさが凄まじく、生き地獄とはこの事だと痛感させられる。終始「イヤな物語」なのだ。

しかし、ただのイヤな物語で終わらせてくれない。

最後に「あとがき」を読むと……。

88.荻原浩『噂』

『女の子の足首を切り落としてしまう〈レインマン〉が出没している。だけどこの香水をつけていれば大丈夫』という噂を流し、口コミで香水の売り込みを狙う広告会社。

しかし偽の噂だったはずが、本当に足首を切り落とされた少女の遺体が発見されてしまう。

ミステリーとサスペンスのバランスが絶妙であり、何より「ラスト一行の衝撃」でも有名。

とはいえ、ラスト一行の衝撃が無くとも十分に面白い作品であるので、あまり気にしすぎないように。

89.坂口安吾『不連続殺人事件』

坂口安吾(さかぐち あんご)氏による普及の名作。

もともと純文学をお書きになる作家さんであるが、今作はストレートなミステリとなっている。

メインとなるトリックは今読んでも素晴らしいものだし、物語のテンポも登場人物のキャラも良い。

犯人の意外性も十分である。

90.中井英夫『虚無への供物』

夢野久作『ドグラ・マグラ』、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』と並ぶ三大奇書の一つ。

だが他2作品ほど奇書っぽさはなく、純粋に推理小説として楽しめる。

探偵たちによる推理合戦、二転三転する展開が見もの。

91.竹本健治『匣の中の失楽』

竹本健治さんの傑作。

夢野久作『ドグラ・マグラ』、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』の「三大奇書」に、この『匣の中の失楽』を加えて「四大奇書」となる。

奇書というだけあり読み応えは凄まじいが、他の三大奇書と比べれば読みやすいほう。

もちろんただ奇をてらっているだけでなく、ミステリー小説として最高峰の面白さを誇る。

間違いなく国内ミステリの歴史の上で外せない作品だ。

何が現実で何が小説の出来事なのか、読み進めるほどに訳が分からなくなっていく壮絶な読書体験をすることができる。

92.竹本健治『涙香迷宮』

2017年の「このミステリーがすごい!」で一位となった名作。

ズバリ「暗号ミステリの最高峰」である。頭がおかしいくらいに。

これほどまでに巧みな暗号や言葉遊びを取り入れた小説にはまずお目にかかれない。

「いろは歌」を扱った暗号が見事すぎて、殺人なんてどうでもよくなって暗号解読に見入ってしまうのだ。

序盤の蘊蓄のオンパレードはやや読むのが大変だが、後半に入ってからの怒涛の展開は読む手が止まらなくなる。

そして何より凄いのが竹本健治さんの頭脳。あっぱれである。

93.岡田秀文『黒龍荘の惨劇』

月輪龍太郎(がちりんりゅうたろう)を探偵役としたミステリシリーズの二作目。

明治時代が舞台とし、「館モノ」「首なし死体」「見立て殺人」という三拍子揃った本格ミステリである。

それでいて「名探偵と助手」というお約束のキャラ配置、終盤ギリギリまで行われる殺人とあふれ返るほどの量の謎。そして明らかになる恐るべき真相。

この時代とこの舞台でなければ成立し得ない、大掛かりでありながら盲点を突いた展開にただただ驚くばかり。

これぞ探偵小説!という感じの古き良き作品だ。

まさかの結末をぜひその目に。

94.櫛木理宇『死刑にいたる病』

櫛木理宇(くしきりう)さんの傑作サイコミステリ。

大学生である筧井雅也の元に、投獄中の連続殺人犯・榛村大和から手紙が届く。

その内容は、「確かに罪は犯したが、最後の一件は自分じゃない」というものだった。

榛村大和の言っていることは本当なのか?

その事をきっかけに事件を再調査する雅也は、予想だにしない真実に直面することになる。

調査していくうちに明らかになるまさかの真実、からの怒涛の二転三転する展開は鳥肌モノ。

サイコパスがいかに恐ろしい存在なのかがよく描かれた作品である。

95.小泉喜美子『弁護側の証人』

ヌードダンサーの漣子は、八島産業の御曹司である杉彦と結婚するが、杉彦の父である龍之助が殺されてしまう。

犯人は一体誰なのか?というシンプルなミステリー作品なのだが、これがまた実に素晴らしいトリックを披露してくれるのである。

何を書いてもネタバレになりそうな仕掛けなので多くは語れないが、とにかく騙されたい人は読むべし。

道尾秀介さんの解説も面白い。

96.原田マハ 『楽園のカンヴァス』

ルソーの絵画を巡った美術ミステリーの名作。

ルソーの絵画「夢」の真贋をするため、ティム・ブラウンと早川織絵はスイスの大邸宅に招かれた。

制限時間は七日間、正しく判定した方にこの絵を譲るという……。

次から次へと浮かび上がる謎にはドキドキさせられるし、知らずのうちに絵画への興味も惹き起こさせる良い作品だ。

97.円居挽『丸太町ルヴォワール』

円居 挽(まどい ばん)さんによる〈ルヴォワールシリーズ〉の一作目。

京都で行われる《双龍会》という裁判で、城坂論語は祖父殺害の容疑をかけられていた。

事件当日、非常に怪しい女がいたと証言するのだが、現場にそのような女がいた痕跡は全くなかった。その女はどこへ姿を消したのか。

法廷を舞台にしたリーガル・ミステリであるが、この作品は少し特別。

裁判というよりなんでもありの討論ゲームに近く、とにかく相手を納得させてしまえば勝ちなのである。

しかも終盤にはどんでん返しに次ぐどんでん返しで大変なことになっている。

98.天樹征丸『電脳山荘殺人事件』

小説版「金田一少年の事件簿」第三弾にして最高傑作。

雪山の山荘に集まったメンバーたちが次々と殺されていく、王道の雪の山荘モノ。

小説ならではの大胆なトリック、可憐なミスリードの数々、丁寧に張り巡らされた伏線、まさかの犯人など、ミステリとしての完成度が抜群。

アニメや漫画が有名ではあるが、ぜひ小説版の金田一少年の事件簿を手にとってほしい。

99.米澤穂信『満願』

①2015年版「このミステリーがすごい! 」第1位
②2014年版「週刊文春ミステリーベスト10」 第1位
③2015年版「ミステリーが読みたい! 」 第1位

という3冠に輝いた、米澤穂信さんのミステリ短篇集である。

収録されている6編全てに読み応えがあり、質が高く、オチも綺麗に決まっている。

全体的に後味の悪い短編ばかりで、決して気持ちの良くなるものではないが、ミステリー小説を読む上では必読の一冊だ。

【氷菓】米澤穂信さんのおすすめミステリー小説10選を語りたい

100.米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』

こちらも米澤穂信さんの短編集。

「米澤流暗黒ミステリの真骨頂」と呼ばれており、ダークな雰囲気と世界観が美しい作品だ。

『バベルの会』と呼ばれる謎のサークルがすべての話に関係してくるので、短編集であるが必ず一話目から順番に読もう。

そして最後の短編を読んだ時、脳天を砕かれるのだ。

【氷菓】米澤穂信さんのおすすめミステリー小説10選を語りたい

あとがき

以上、『ミステリ小説おすすめ100選-ドンデン返しが凄い傑作推理小説2018』となる。

あくまで現時点の100選なので、これからも傑作ミステリ小説に出会えば追加していく予定。

面白いミステリー小説が読みたい!という方の参考になれば嬉しいことこの上ない。

海外ミステリ小説おすすめ名作・傑作50選【2018年版】

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